独立宮殿、北部ジャカルタの水没可能性に初言及

 ジャカルタ都市計画に関する環境資源省と地方行政省合同の政府専門家会議は30日、過剰な地下水の違法汲み上げや地球温暖化などにより、ジャカルタ北部の水没可能性について現実味を帯び始めているとする報告書を提出した。31日、政府はジャカルタ水没問題について初めて言及した。

 ジャカルタ北部は中心部や南部と異なり貧しく、スラムの様相を呈しており、彼らは経済的問題や地理的問題から水源を地下水に求め、違法な汲み上げを行ってきた。それにより、当初楽観視され、終末論者の戯言の類に過ぎなかったジャカルタ水没論が現実的な問題として浮上した。海洋学者、地質学者、地方行政省政治委員などで構成される専門家会議によると、最悪の場合2050年か2070年にジャカルタ北部の三分の二が沈み、遅くても2070年頃にはあからさまに目に見える結果となると結論付けた。また、地盤沈下や貧弱な堤防による津波のリスクももはや避けられない緊急を要する状態にあると指摘し、最悪の場合都市部にも数メートル級のものが来るだろうと警告した。地盤沈下の原因は地下水や温暖化の他にも、森林伐採による土砂の流出や、過剰な都市開発による重量にも求めることができると指摘した。

 マフムド・チャイダール主席報道官はこの報告書について、「納得のいく目に見えるデータであり、素晴らしい報告書だった。地盤沈下による水没の可能性はもちろん、津波などの災害についても切迫している状況であることはよく理解できた。アブド・ソイセノ首相はこの専門家会議を拡大し、更に経済面や都市計画面などから災害の防止について検討するよう指示した。また、緊急の護岸工事については、政府とジャカルタ市長が合同で行う方針で、首相は既に各所に基本的な指示を回した」として、緊急の対策に乗り出す方針を示した。また、4年前に打ち出された“副都”についても言及し、「副都の完成と整備を急ぎ、ジャカルタに万が一のことがあった場合の砦としなければならない。引き続き政府は投資を呼び掛けている」とした。副都については建設が遅れていたが、2023年に入ってようやく工事がスタートした。

 また、住民の安全確保についても言及し、「北ジャカルタに住んでいる住民の安全保障について政府は責任がある。大規模な護岸等の対策はもちろんだが、それでは限界がある。政府は更に北ジャカルタ住民のトランスミグラシ計画を推進し、イリアンジャヤなどでの整備された新天地を用意する」とした。

 しかし、北ジャカルタは土地と海に愛着を持つ漁師町であるため、トランスミグラシ政策の支持を得ることは難作業となるだろう。北ジャカルタに住むファティマ.Dさんは「私達は伝統的な漁師で、この町は私達の町です。土地と海を愛しています。しかし、子供達に海の底の家を渡すわけにもいきません。トランスミグラシ政策によって移住するのも仕方がないものだと思います。ただ、イリアンジャヤも良いニュースは聞きません。政府は、もし私達をイリアンジャヤに移住させるなら、武装警察などをもっと送り込んで、安心できる環境を作ってほしいです」と、北ジャカルタ住民のトランスミグラシ政策適応について、一定の理解は示すものの、心情的には難しい部分を垣間見せた。

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